“SAS担当になったら”シリーズでは、 運輸業のSAS管理担当者向けにSASの概要を分かりやすく解説しています。第5回では、運輸業のSAS対策に必要な費用と助成金について解説します。
Contents
SAS対策のステップまとめ
SAS対策とはスクリーニング検査からその後の治療まで大きく3つのステップに分かれています。この記事では、各ステップに必要となる費用や自己負担/会社負担の傾向について解説します。
ステップ1:SASスクリーニング検査の費用
■ SASスクリーニング検査費用
SASスクリーニング検査は、概ね5,500円/人程度で実施している企業が多いです。例えば200名の検査であれば以下のとおりになります。
5,500円×200名=1,100,000円
また、ほとんどの企業においてSASスクリーニング検査は会社負担で実施されています。会社でまとめて検査会社に発注をかけています。
■ SASスクリーニング検査の助成金
SAS対策は安全という社会的な影響が大きい項目であることから、運輸業では助成金が整備されているケースがあります。トラックでは「全日本トラック協会」を主軸に「各都道府県トラック協会」が助成制度を所属会員向けに整備していますし、「各都道府県バス協会」も独自に助成金を実施しています。
仮に1人あたり2,500円の助成金を想定した場合、SASスクリーニング検査の実際の支出は約半分で済むことになります。例えば検査人数が200名の場合、助成金額は
2,500円×200名=500,000円
となり、SASスクリーニング検査費用の実際の負担額は
1,100,000円-500,000円=600,000円
となります。各都道府県ごとに金額・対象者など助成制度の内容が異なり、SAS精密検査の助成制度があることもあります。まずは所属団体の過去の実例をお調べいただくことをおすすめしております。
ステップ2:SAS精密検査の費用
■ SAS精密検査の費用
SAS精密検査の費用は医療機関によって様々です。保険診療であり3割負担の検査ではありますが、宿泊が必要なことから金額には幅があり、自己負担額で15,000円~50,000円程度が多いようです。また、受入可能かどうかもタイミングで変わるため、事前に医療機関に問い合わせをする必要があります。
■ SAS精密検査の負担主体
SAS精密検査は、企業の方針により会社負担と自己負担に分かれます。企業様のお話によると、以下の3種類に大別されます。
- 会社負担で、要精密検査であれば精密検査その後の治療を乗務に必須としている
- 会社負担で、乗務に影響はさせないが可能な限り通院に進ませるため補助をしている
- 自己負担で、従業員の自由意思に任せており会社は関与しない
会社負担かつ乗務条件にしている企業ほど治療実施率が高く、経営リスクを下げるという目的が達成されます。
※(ご参考)入院保険
従業員様が個人で加入している入院保険によっては、診断のための検査入院は保険支払の対象となることがあるようです。詳しくはご契約の保険会社様にお問い合わせください。
ステップ3:SAS治療(特にCPAP治療)の費用
SASの治療にはCPAP治療が選択されるケースが多く、ここではCPAP治療について記述します。
■ SAS治療(CPAP治療)の代金
CPAP治療は、3割負担であれば 約5,000円/月 が必要となります。月に1回、機器の使用状況をもとに診察を行います。安定すると診察の頻度が下がることがあります。
■ SAS治療の負担主体
CPAP治療に限らず、SAS治療を会社負担にしているバス/トラック輸送系の会社は多くないと思われます。過去に数社だけ会社負担とされていました。
いかがでしたでしょうか。ここまで、実際にSAS対策に必要なお金についてご説明をしてきました。次回の第6回では、実例をもとに生産性の高いSAS対策について解説します。
SASに関する無料相談も実施しています。自社で必要な費用は?といった実務的な回答も可能ですのでぜひお気軽に問い合わせください。
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