この記事では、SAS(睡眠時無呼吸症候群)対策を進めようとしている企業様、もしくは明文化し規定化を検討されている企業様向けのものになります。
Contents
SAS(睡眠時無呼吸症候群)の規定構築とは?
SAS(睡眠時無呼吸症候群)の規定とは、各社員の自主性に依存するのではなく、会社として、SAS(睡眠時無呼吸症候群)検査の規定化をする・ルール化をすることにより、社員の安全と健康のための仕組みを構築することです。
SAS(睡眠時無呼吸症候群)対策 規定化の課題
このページをご覧になっている方は、「SAS対策をルールを社内に作って継続して行っていきたい」「自主性に依存するのは、経営リスク低下の効果が限定的になってしまっている」といった課題を抱えていらっしゃるかと思います。
このページでは、SAS対策の制度化における考え方と課題について記載しています。
記事を読むより、資料で一気に事例をご覧になりたい方は、以下のリンクから資料をダウンロードしてください。
SAS(睡眠時無呼吸症候群)検査について基本的なことを知りたい方は、こちらのSAS(睡眠時無呼吸症候群)検査とは?をご覧ください。
事例から考察するポイント:SAS対策の目的の明確化
SAS対策について、企業様のご意見をうかがっていると、大きく分けて2つの目的があることがわかりました。
「SASスクリーニング検査だけは最低限やっておき、状況把握に努める」
「SAS起因の事故を減らすため、対象者にはきちんと治療をさせたい」
の2つに大別されます。
まずは自社が何をしたいのかを明確にすることで、その後の規定やルールの組み立て方が変わってきます。SASスクリーニング検査を実施しないことには、企業に内包するリスクの実態が見えてきません。現在、SAS対策に取り組まれていない企業様については、まずはSASスクリーニング検査を実施し、現状を把握していただくことが必要です。
一方、企業のリスク低下のため、従業員の健康のため、社会の安全のため、最終的には後者の「SAS起因の事故を減らすため、対象者にはきちんと治療」とお考えいただくことをお願いしております。
尚、SASスクリーニング検査は2020年度よりGマークの2点加点項目となりました。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
事例から考察するポイント:コスト
次に、目的に応じたSAS対策のコストを概算で計算します。
SAS対策には、大きく3STEPがあります。
- 精密検査が必要な方を把握するための「SASスクリーニング検査」
- SASスクリーニング検査後に、どの程度重症か、治療法は何か決めるための「精密検査」
- 精密検査後、必要な方には「治療」
1.精密検査が必要な方を把握するための「SASスクリーニング検査」
SASスクリーニング検査は、概ね3年に一度5,000円/人(約1,700円/人/年)が必要になります。
もっとも、トラック協会・バス協会の会員である企業については助成金の対象となるケースがあります。
SASスクリーニング検査についてはほとんどの企業が企業負担で実施されています。国土交通省の要請のみならず、自社のリスク把握、対策が必要な方を把握するため、すべてのドライバーが3年に1度は検査を実施することを推奨しております。
2.SASスクリーニング検査後に、行う「精密検査」
一方、SASスクリーニング検査後の精密検査については企業によりコスト負担の考え方が異なります。SASの精密検査は、一般的に大きな金額が必要となります(医療機関により異なります)。この精密検査の費用を「会社負担」とするか、「従業員負担」とするかは、SAS対策上よく論点になります。
傾向として、「会社負担」とした場合、対象のドライバーのほとんどが精密検査を受け、必要があれば治療を行います。会社負担の場合はこの精密検査~治療までをルール化し、乗務ルールを定めているケースが多くなります。一方、「従業員負担」とした場合、自主性に任せることになり、かつ金額的負担も大きいため、精密検査の実施率が顕著に低下する傾向にあります。結果として治療に進む方も少なくなります。
①で目的について記述しましたが、「経営リスクを下げるため」に制度化を検討されている場合、精密検査については「会社負担」として頂くことを推奨しております。
3.精密検査後、必要な方には「治療」
治療については、一般的な運輸業ではSAS対策といえども会社負担にしているケースは多くありません。理由を尋ねると、精密検査までは運輸業として会社負担で実施し制度化しているが、治療は例えば、眼鏡の製作費や持病の治療と同様に自己負担にしている、とのお考えだとの声を頂いています。
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